【私立TOSS大学】第5回目講義 共感覚
はじめに
お久しぶりです,みなさんこんにちは.
先週は投稿できずすみません.
珍しく忙しいタイミングだったので,Blogに着手することも「投稿できないよー」とバンドメンバーに伝えることも出来ず,,,
TOSSには「Blogの投稿を忘れた場合YouTubeやTikTokに動画をアップする」という罰ゲームが存在します.この罰ゲームは,バンドのグループLINEに投稿が遅れる旨を申告することで回避できるという制度が存在するのですが,前述の通り申告のタイミングもないほど追われていたので,今回は無事ドタキャン判定となります.
来週中には,罰ゲームとして撮影する動画をアップ出来ると思いますので,このサイトのMoviesタブから是非ご覧ください.
本日の議題 共感覚とは
さて,本日は前回の絶対音感の話の派生で「共感覚」についてお話しします.
まず,共感覚とは何だという定義から入りましょう.
共感覚(きょうかんかく、シナスタジア、英: synesthesia, 羅: synæsthesia)は、ある1つの刺激に対して、通常の感覚だけでなく 異なる種類の感覚も自動的に生じる知覚現象をいう。
例えば、共感覚を持つ人は文字に色を感じたり、音に色を感じたり、味や匂いに、色や形を感じたりする。複数の共感覚を持つ人もいれば、1種類しか持たない人もいる。共感覚には多様なタイプがあり、これまでに150種類以上の共感覚が確認されている。
共感覚を持つ人の割合については、昔は10万人に1人などと言われていたが、最新の研究では23人に1人というものもある[要出典]。
英語名「synesthesia」は、ギリシア語で「共同」を意味する接頭辞「syn-」と「感覚」を意味する「aesthesis」から名づけられた。感性間知覚とも。
(引用 : Wikipedia 「共感覚とは」)
恐らく,1度は誰もが耳にしたことがあるのではないでしょうか.
「この世には,音に色がついて見える人がいるらしい」と.
私もよくそのような話を聞くことがありましたが,
私自身が複数の共感覚者でそのうちの一つに音に色がついて見える,所謂「色聴」を持っているので,
「逆にみんなは見えないの?」と思っていました.
初めて色聴が当たり前ではないと気が付いたのは中学3年生のことでした.
夏の吹奏楽コンクールに向けた課題曲の練習中,顧問の先生が
「場面ごとに色を付けてみよう」と言いました.
わざわざ色なんて楽譜に書き込まなくても,実際に見えているんだからその必要があるのか疑問だったのですが,ここで驚きの事実が判明しました.
皆のつけた色に大きくバラツキがあったのです.
曲のタイトルが「春の道を歩こう」だったので,大体ピンクや赤などを使う傾向はあったのですが,途中に挟むトロンボーンやチューバがメロディを吹く場面で,私は黄色や緑を付けたのですが,ここで青や紫を付けた人がいたのです.
一番大きな違いは,私を含む数名は「色なんて1フレーズごとに若干違っていくんだから,全部の要素を書こうとしたらぐちゃぐちゃになってしまう」と懸念していたところ,リハーサルマーク(Aメロ,Bメロといった区切り)毎に単一の色しかイメージを持っていない人が多くいたことでしょうか.
ここで初めて,自分とは違う見え方をしている人がいる(音に色が見えない人がいる),ということを知りました.
自分語りはこの辺にして.
共感覚者の脳の動き
共感覚は数百年前からいくつも確認されてきました.
有名どころでいえば,色聴共感覚をもつピアニストのフランツ・リストが指揮をするオーケストラとのリハーサル中に「ここは紫に」などという指示を出し,楽団員が困惑したというエピソードでしょうか.
色聴共感覚のない人からすると,
音に色がついているという表現は,その人がなんとなく感じている色彩感を他人に伝える際の比喩表現である
と捉えられることが良くあります.
しかし,それは全くの誤解で,感覚の比喩表現などではなく実際に視覚にハッキリと色が見えるという,事実をありのまま伝えているに過ぎないのです.
この主張はやはり他人に理解されにくい知覚なのですが,
関西学院大学理工学部の長田典子教授をはじめとする多数の研究者によって少しずつ
共感覚者の脳の動きが見えてきました.
実験では,色聴共感覚者2名とそうでない者11名の計13名を対象に,音楽を聴いている最中の脳の動きをfMRIで計測しました.
すると,色聴共感覚者の2名のみに見られる共通賦活領域として,色知覚野,および
小脳,右下頭頂小葉,補足運動野といった部位が抽出されました.色知覚野の活動が認められたことによって,音楽色聴の場合も,実際に色を感じていることが確認されたのです.また小脳や補足運動野は音楽や演奏に関連し,右下頭頂小葉は視覚・聴覚といった感覚を統合する部位であり,これら複数の部位の活動の結果として共感覚知覚が起こっていると考えられる,という結果を得ることが出来ました.
ここでお話ししている色聴以外にも,文字に対して色が見える色字共感覚など150種類以上の共感覚の存在が確認されており,前述のWikipediaの引用にもある通り23人に1人(あくまでも一説)というかなり多くの人が何かしらの共感覚を持っているにも拘らず,共感覚が珍しいとされているのには,主に2つの原因があります.
1つは,共感覚を持っている人はそれが普通であると思っている為わざわざそれを人に話さないというもの.
もう1つは,音に色がついている,や,数字や文字に色がついて見えるというと「変」として周りに扱われるというもの.
前者に関しては私自身もそうでしたが,共感覚は表面上に出てくるものではない故に周りの人から「色聴なの?」と聞かれることもなく,こちらの申告によってしか認知されません.しかし,だからといって申告しようにも後者の風潮が容易に想像できるため結局は申告しない
という循環によって隠れてしまうという現実があります.
最後に
ここまで共感覚,特に色聴共感覚についてお話してきました.
絶対音感の話の派生でこの共感覚を取り上げたことには意味があり,
絶対音感保持者の多くは,この共感覚も持ち合わせていると言われているのです.
何かそこに脳の動き的に関連があるのではともいわれており,研究が進んでいる分野でもあるのです.
前回,私が絶対音感よりの相対音感というフワッとした表現を用いた理由はこうした背景があったからです.
ちなみに私は,色聴以外にも,音を聴くと様々なテクスチャや図形が見える共感覚も持っていて,恐らく2つか3つの共感覚を持っていると思われます.
皆さんはどんな共感覚を持っていますでしょうか?
YouTubeにはたくさんの共感覚診断の動画が上がっています.興味のある方はぜひ.
注意点として,共感覚は90%近くが色に関わるものなのですが,「なんとなく色を感じる」ではなく「ハッキリと色が見える」というのが大きなポイントです.
ではまた.読んでいただき,ありがとうございました.
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